役者と仕事 演技の技術

演技力を上がるために必要な能力と学習方法。演じるとは何かを知る

演技力を上げたいけど、何をすればいいのだろうか?

演技力が上手くなるためにはどんな能力が必要なの?

 

ネットを検索すると、いくつか演技力を上げるための練習法が書かれています。

でも、それらは本当に演技力を上げてくれるのでしょうか?

 

この記事では、本当に演技力を上げる方法をお伝えしていきたいと思います。

 

自己紹介

  • 役者生活19年。
  • 現在劇団に所属。
  • 過去に芸能事務所に在籍経験あり。
  • オーディションを受けた経験、そして合格経験あり。
  • 大衆演劇の2年の経験あり。
  • 映画や映像作品の鑑賞本数は、500本以上
  • リアリティのある演技とは何かを研究中

 

【演技力を上がるために必要な能力と学習方法】演技力に必要な能力とは

演技力に必要な能力は大きく分けて三つ

  • 発生
  • 体の使い方
  • 心のコントロール

です。

それぞれ解説していきます。

 

【演技力を上がるために必要な能力と学習方法】①発声

子供、マイクの前

役者さんは、セリフを言います。

声を使うという事です。

 

声を使う以上【発声】の技術は必ず必要です。

 

【腹式呼吸】って聞いたことあありますよね。

お腹から声を出すあれです。

 

ボイストレーニングでも演技の養成所でも声優学校でも、基本的に言葉を操る仕事の訓練所では発声法を教えてくれて、発声練習もします。

 

ではなぜ発声練習が必要なのか?

 

自分は舞台を何度も経験しているのですが、きちんと発生の技術を身に付けないと

  • 声をからす
  • 声が届かない
  • 適材適所で発生方法を変えられない

という問題が起こります。

 

舞台をやっている役者さんで、声をからす人かなり多いです。

ツナカン
多分テンションが上がって、大きい声を無理やり絞り出しているので、からしてしまうのでしょう。

 

舞台の公演は一日では終わりません。

数日、長ければ一月以上公演することもあります。

そこで声をからしてしまったら、演技できません。

 

声をからしてしまった役者さんは、耳鼻咽喉科にいって注射を打ってもらったりする人もいます。

 

自分の身近でもこんなことがありました。

声をからしてしまった例

今所属している劇団の元座長が、公演中に声をからせて、全く声が出せなくなったことがありました。

その時は、座長のセリフの番になった時に、『座長の口に合わせて、他の劇団員が舞台袖からマイクでアフレコをする』

という離れ業を駆使して、見事危機を乗り切ったのです。

お芝居自体がコメディだったので、お客さんはそれを「ネタ」だと思い、逆に大いに笑わせることが出来ました。

 

 

また、発声をきちんと習うと、”体に変な力みを入れずにきれいにセリフを言える”ようになります。

ツナカン
”体に変な力みを入れずにきれいにセリフを言える”事が、自然な演技をするのに必要不可欠な技術なのです。

 

【演技力を上がるために必要な能力と学習方法】②体の使い方

ベンチで走る

体の使い方とは、役者さんの意思で思い通りに体を動かす事です。

 

演技が下手だと思う原因の一つに、【体の動かし方が不自然】というのがあります。

 

例えば、

 

メモ

机の上にあるコップにあったかいスープがあります。

そのスープのあるテーブルまで行って、コップを持ち、スープを飲みながらソファーに腰掛ける

という動作をするとします。

 

これやってみると意外と難しいのです。

普段やっていることのなのに、明らかに不自然な動きになってしまうのです。

 

不自然の原因は、

  • 必要じゃない筋肉が緊張している
  • 必要以上に力が入っている

です。

 

そうならないためには、体の使い方を知る必要があります。

そして、自分の体のどこに余計な力が入っているか瞬時に判断して緩める必要があります。

 

体の使い方を学ぶために日本舞踊を習う方もいます。

 

ツナカン
自分も大衆演劇をやっていた時に半年ほど日本舞踊を習っていましたが、日本舞踊を習うと体重移動と体の筋肉のどの部分に余計な力が入っているのかが分かるようになります。

そして、演技で最も重要な能力の一つ、【集中力】も鍛えることが出来ます。

着物の着方も覚えられるので、興味がある方は日本舞踊をおすすめします。

 

 

【演技力を上がるために必要な能力と学習方法】③心のコントロール

心を覗く

【心のコントロール】とは、役が感じているだろう感情を、演じているあなた自身もリアルに感じることです。

  • 【怒る】シーンだから無理やり怒ったり
  • 【泣く】シーンだから、昔の悲しかった思い出を引っ張り出して泣く

ではいけません。

 

実は、これをやってしまうと、演技が嘘くさくなるります。

 

理由は、その演じている習慣に合っていないからです。

 

”俳優さんが演技をする”とはどういうことなのか?

 

20年弱の役者の経験と、演技法(スタニスラフスキーの本)が書かれている本をいくつか読んで、しっくりくる答えを見つけました。

 

「演技とは、”役を生きる”芸術」

 

ツナカン
なんかかっこいい

 

この”役を生きる”って聞いたことありませんか?

 

本には”役を生きる”ことも明確に書かれていました。それは

 

役を生きる

俳優の全存在が戯曲の虜になった時。

意思をはなれて役を生きることがある。

何を考えているか?

何をしているか?

これさえも考えない、あらゆるものが無意識で出てくる状態。

 

ツナカン
ちょっと何言ってるかわからないですよね?

 

解説します。

 

自分も演技をしていて何度か経験したことがある感覚なのですが、

”笑わせてやろうとか””相手のセリフを待ったり”などの、演じている俳優自身の思いや感情が全くなく、体が勝手に動いていた瞬間がありました。

”気が付いたら動いていた”みたいな感じです。

無意識に”演じている”という感覚さえもない状態。

 

そういう状態になることがあります。

 

これが”役を生きる”という感覚に近いのだと思います。

最近流行りの『呪術廻戦』の”黒閃”に近いのではないでしょうか?

 

【演技力を上がるために必要な能力と学習方法】心のコントロールに必要な【4つの能力】

演技力が上げるために、心のコントロールに必要な【4つの能力】があります。

  • 読解力
  • 想像力
  • 集中力
  • 行動力

です。

それぞれ解説していきます。

演技力が上がるために、心のコントロールに必要な【4つの能力】①読解力

読書する

読解力があると、役者は台本から情報を引き出すことが出来ます。

 

役者さんは基本

  • セリフの意味
  • その人物は何をしているのか?
  • シーンの置かれている状況

 

これらを台本から貴方なりに解釈しないといけないのです。

だから読解力が必要なのです。

 

もしあなたが台本からこれらを読み解くことが出来ないと、

  • どうセリフを言えばいいか?
  • どう演じればいいか?

がわかりません。

 

解釈が他の役者さんと多少違ってもかまいません。(違いすぎてもだめですけど)

だから役者さん同士でディスカッションするのもありです。

 

ツナカン
ただ、その解釈の違いが、あなたの個性にもつながりなります。

 

セリフの裏を深く知れば知る程、演技でできる事の幅が広がります。

ツナカン
解釈の数だけ、あなたは演技を生み出すこともできるんですね。

 

読解力がないとどうなるのか?

読解力がない役者さんの中には台本を読んでもよくわからない部分があると、を自分ではあまり考えない段階で演出家や脚本家に聞く人がいます。

 

これをやるとあなたの役者としての評価が落ちます。

演出家さんは理解力がない役者さんはかなり煙たがります。

 

だって答えは台本に書いてあるんですもの

 

そして煙たがれる理由;読解力のない役者さんは、演出から演出を加えられてもその糸を汲むことが出来ないので、瞬時にその演出に対応できない事が多いです。

 

そして、もう一度同じ説明聞いたり、確認しようとする”時間の無駄”をすることになるのです。

 

ツナカン
読解力は、演出家さんの演出の意図を理解するのにも必要な能力なのです。

 

読解力を身に付ける方法

とにかく本を読むこと。勇逸の方法といっていいです。

 

小説や戯曲をたくさん読むこと。

そして、読むだけでなくてその内容を吟味すること。

 

例えば、このセリフはこういういみでいっているのか?など。

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演技力が上がるために、心のコントロールに必要な【4つの能力】②想像力

imagination

役者は台本を元に役作りをします。

台本の情報からその役が、どんな人物なのか?を読解力を用いて情報を読み取ります。

 

そしてその情報から、あなたなりに膨らませたり味付けしないといけないのです。その能力が想像力です。

 

例えば、あなたがある役を演じる場合に役作りに必要な情報は

  • 性格
  • 話し方
  • 椅子の座り方
  • 感情の表し方

あたりだと思います。

しかし台本にはその情報ははっきり書かれていないことが多いです。

 

だからこそ台本からえた情報から、膨らませるのです。それが想像力です。

 

そして、行間を読むのも想像力です。

ツナカン
もちろんただ想像すればいいのではなくて、リアリティのある想像をしないと、演技に説得力がでません。

 

想像力がないとどうなるのか?

コミュニケーションが下手くそになります。

 

想像力がないので、相手の感情を読むことが困難になります。

知らない間に人を傷つけていたりなんてことも…

 

人を演じるのに、人を感動させたり笑わせたりするのに、感情が分からなかったら役者という仕事は難しいと思います。

 

想像力を身に付ける方法

  • 人に興味を持つ
  • 人を観察する
  • 相手の立場に立って物事を考える

あたりが効果的です。

ツナカン
人を演じるのが役者の仕事です。だから人に興味を持つことがとても大切な事なのです。

 

想像力ではなく創造力は必要ないのか?

「創造力」と違って「創造力」は、役者にも必要な能力ですが、どちらかというと「創造力」は、脚本家や演出家、監督業に必要な能力です。

でも「創造力」があると他の役者さんと違ったアプローチで演技をできるようになるので、持っていた方がいいです。

また演じる役を成立させるのにも「創造力」は必要です。

 

「創造力」が身に付く方法

創造力は挑戦することで身に付いていきます。

ある課題があって➔どうアプローチすればいいのかを考えて➔実行すること。

 

演技力が上がるために、心のコントロールに必要な【4つの能力】③集中力

空手

なぜ集中力が必要なのか。

 

ツナカン
あなたが舞台に立つとき、緊張しませんか?
  • 上手くできるかなぁ
  • 知り合いの演出家さんが観に来てるから失敗できない

といった理由が多いでしょう。

 

もちろん緊張しない人もいるかもしれませんが、ほとんどの方は緊張するはず。

 

この”緊張”も集中力があればある程度、克服できるようになります。

 

そもそも、上手くできるかなぁとか逆にいいところ魅せてやろうとかいう感情は、リアルな演技をする上では足かせにしかなりません。

 

ツナカン
べつにお客さんは、あなたの頑張りを観に来ているだけではありませんしね。

 

観客はお話を観に来たのです。

 

役者が抱きやすい雑念や余計な感情のコントロールにも、集中力は必須なのです。

 

ツナカン
観客を意識しないように、今演じている役に生きることのみに集中する=集中力が必要になるわけです。

 

集中力がないとどうなるのか?

役者自身の、かっこつけたり笑わせたり、という感情に支配されて演技をしてしまうようになります。

また、観客の目線が気になって、役に集中できなくなります。

 

余計な感情は、観ている側にきっちりと伝わります。

結果、観客はその作品に没頭できなくなるのです。

これは、お金を払った時間を作って観てもらっているお客さんに対してなかなかの罪だと思います。

 

だからこそ役に没頭する「集中力」が必要なのです。

 

映画や本を読むにも集中力は必要ですよね。

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集中力を身に付ける方法

集中力は、知らず知らずに発揮していることが多いですよね?

 

例えば、電車にて本を読んでいるたりSNSを見ている時に、電車を乗り過ごしたときないですか?

あれが集中力です。

 

一つのものを観察している瞬間が一番集中力を発揮しやすいのです。

その集中をする対象を、少しずつ広げたりして集中する対象を変えていくのです。

 

ツナカン
瞑想も集中力を鍛えるのに効果的です。

 

ツナカン
それが自在にコントロールできるようになれば、観客の存在を考えずに集中して演技できるようになります。

 

演技力が上がるために、心のコントロールに必要な【4つの能力】④行動力

ジャンプ

演技が上手くなるためには、脚本を読む、役作りをする、演じるという実践経験しかありません。

 

演じる環境に自分を置く必要があります。そのためには、行動力が必須です。

 

オーディション受けたり、ワークショップに参加したり、積極的に発言したり、有名な監督や演出家と交流できる場所に行って、臆することなく質問したり。

また、何か面白いことを思い付いたときに実際に稽古で披露するのにも行動力が必要です。

 

やらないとわからない事の方が世の中に多いです。

それは演技の世界でも一緒です。

やってみないと判断が付きません。

その演技が本当に面白いのか?このシーンに適しているのか?が分かりません。

 

もちろん、勉強をするにも行動しないけません。

 

ツナカン
まずは行動しないと、はじめの一歩さえ踏めないのです。

 

行動力がないとどうなるのか?

行動力がないと、いつまでも変わらない自分のままです。

行動しないと結果が付いてきません。

 

行動力を身に付ける方法

きちんと具体的な計画を立てること。

そして、具体的な目標を徹底的に細分化して、ステップの高さを馬鹿みたいに低くする事。

チリと積もれば山となるです。

 

こちらにも詳しく書いています。

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演技力が上がるために、心のコントロールに必要な【4つの能力】具体例を紹介

例えば

4つの能力があればできること。

 

例えば、役者はまだ駆け出しでバイトしなければなりません。

そのためには、どんなバイトがいいのか?

まなぶくん
変なバイトをすると時間の無駄だよな(想像力)

そこで、ネットで検索します(行動力)

そこから必要な情報をピックアップします(読解力)

その間、動画見たり、SNSに気を取られたら作業がはかどりません(集中力)

 

と言うように、行動の内容は役者ではないですけど、必要な能力だとわかると思います。

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監督さんがやっているということで気になるワークショップを見つけます。

しかしその監督がどんな作品を撮った人なのか知りません。

まなぶくん
もし情報無しでいったら、自分がおもっていた演技と違うことを要求される可能性がある(想像力)

そこでその監督のことを調べます(行動力)

でもちょっと骨の折れる作業です(集中力)

実際にワークショップに行くと、台本が渡されて、読む(読解力)

そして、例えばやりたい人?と聞かれた場合あなただったらどうしますか?

まなぶくん
はい!(そこで手を挙げる=行動力)

すごく緊張する。でも心を落ち着ける(集中力) 演じることだけを考える(集中力)周りの目が気にならなくなる(集中力)案じる相手の一挙手一投足を観察(集中力)

相手のセリフや動きから、その人物の感情や意思を読み取ります(想像力)

そして、反応して、次のセリフをいう(集中力)

 

行動力が一番最初、そして読解力と想像力で次の行動内容を決めてまた行動する。

その際は常に集中力がないと、意識は散漫になって他の事に囚われてしまいます。

 

その後の飲み会で、その映画監督と飲む機会があったとします。

その時にワークショップでわからなかったこと、演技の上達法など何か質問する(行動力)

 

演技力を上がるために必要な能力と学習方法:まとめ

演技力に必要な能力は大きく分けて三つ

  • 発生
  • 体の使い方
  • 心のコントロール

です。

 

そして演技力が上がるための心のコントロールに必要な【4つの能力】は

  • 読解力
  • 想像力
  • 集中力
  • 行動力

です。

これらの能力を身に付けて、役者として力をつけていってください。

 

※参考文献


俳優の仕事 第一部: 俳優教育システム

 

-役者と仕事, 演技の技術

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