ってよく聞きますよね。
それにはきちんとした理由があります。
役者を何年も経験してきて感じたことがあります。
それは、演技には大きく分けて二種類の型が存在するという事です。
”演技に二種類の型が存在する”
これが、日本の俳優さんが演技が下手くそだといわれてしまう理由と深く関係があるのです。
その理由を解説していきたいと思います。
自己紹介
- 役者生活19年。
- 現在劇団に所属。
- 過去に芸能事務所に在籍経験あり。
- オーディションを受けた経験、そして合格経験あり。
- 大衆演劇の2年の経験あり。
- 映画や映像作品の鑑賞本数は、500本以上
- リアリティのある演技とは何かを研究中
Contents
日本の俳優は演技が下手だといわれる理由①演技には2種類の型が存在する
俳優さんが演じる演技には、きく分けて2種類の型が存在します。
- 説明型
- 憑依型
です。
ではそれぞれの特徴とどういったジャンルで演じられているか?を解説したいと思います
【日本の俳優は演技が下手?】2種類の演技の型その①『説明型』
説明型の演技とは
演技の型があって、役者さんはその型に合わせて演技をする方法。
演出や監督さんの指示によって、稽古を重ねある程度の演技プラン(型)を作ります。
俳優さんはその演技プランにあった演技をします。
歌舞伎や能などの古典芸能は、この説明型の演技の”究極”だと私は考えます。
伝統芸能は、子供のころから英才教育を受けます。
伝統芸能には型が存在している。
しかも並大抵の時間と努力では、身に付けられない技術なのです。
歌舞伎役者さんなどは、子供のころから身に付けられる環境と才能という血筋を与えられている。
歌舞伎や能などの古典芸能を極めている俳優さんの技は、誰にも真似できないから
”説明型の演技”の頂点なのです。
説明型の演技が求められる舞台
- 日本のドラマや映画
- アニメの声優
- 大劇場の舞台での演技
- バラエティー番組の再現ドラマ
日本のドラマや映画はこの『説明型の演技』を求められることが多いから
だから今の日本のテレビや映画は、歌舞伎役者さんや能楽師さんの独壇場なのです。
また、バラエティー番組の再現ドラマは、人気のある芸人やタレントさんで構成されるのは、
説明型の演技(誰でも演じることが出来るから)で撮影されているから、人気の身でキャスティングされるであります。
説明型の演技のメリット
- 演出が付けやすい。
- 演出の仕事が演技プランの提示で済む。
- レベルを問わなければ、誰でもすぐに演じることが可能。
- 登場人物の心情が解かりやすい
- 動きが大きいので大きい舞台ではとにかく映える
- 何度でも同じ演技ができる
- エンターテイメント性に優れている
ただ、ある程度高い技術がないと、観ていられない演技になる。
説明型の演技のデメリット
- 演技がくさいくて、わざとらしい
- 型で演じるので、慣れると感情がない演技になる
- アドリブに弱い
となる傾向にあります。
理由は説明型の演技で行われる動きは、実際の日常生活ではまずすることがないような動きやセリフ回しが出てきます。
そしてこの説明型の演技に慣れてくると、役者さんの内面=感情が動かなくなります
演じ手の感情が動いていない演技というのは、お客さんにばれます。
そんな演技で、人を感動させるのはとてつもなく難しいのです。
【日本の俳優は演技が下手?】2種類の演技の型その②憑依型
役の人格と俳優本人に近づけて、その役が生きているかのように演じるやり方。
リアルに表現する演じ方。
日本の演劇やドラマは説明型が支流で、邦画作品だとリアル型はちらほらあります。
憑依型の演技法をメソッド演技とも呼ばれています。
日本だとメソッド演技法を教えるところは、あまりありません。
ハリウッドを含む海外の俳優さんは憑依型の方が主流というか、演技法を学校にてきちんと学んでいます。
自分の好みも圧倒的に憑依型ですけどね。
憑依型の演技のメリット
俳優というより、そこにリアルな人物が存在するので、演技は観ていて予想がつきません。
舞台上で俳優さんが役で生きているので、毎回違う演技になります。
演技が新鮮さを失う事がないので、見ていて飽きることはあまりありません。
憑依型の演技のデメリット
のめり込みすぎて、精神的におかしくなったり、薬物中毒やアルコール依存症に陥ったりす人がいます。
役作りに時間がかかります。
全く同じ事を演じることがほぼ不可能です。
日本の俳優は演技が下手だといわれる理由②日本は説明型の演技が多いから
現在の日本はあまりにも説明型の演技が多いです。
なぜなんでしょうか?
それは説明型が、
- とても解かりやすい
- 演技指導しやすい
- 短時間で演じることが出来る(レベルの低い演技の場合)
という特徴があるからです
説明型には比較的、お約束みたいな型のようなものが存在します。
例えば、「お腹が空いている時は、力が出なくて座り込む」とか
ドキドキしていることを表現するときも、とても分かりやすく焦った雰囲気を出したり
相手の事を好いていることを表現するのに、あからさまに照れたりしますよね。
観たことないですか?
演出としては、そのお約束の型に則った演出をつければいいし、この芝居で何を言いたいか安易に伝えることが可能なのです。
それに、大げさに演じる事が面白いと感じる要素にもなるからです。
またショー的な会場の大きい舞台だと、説明型のような型にはめた演技の方が派手で、遠目から見ても動きが大きいので伝わりやすいというのもあります。
別に説明型が悪いといっているわけではないのです。
日本の伝統芸能の歌舞伎などは、(少しジャンルは違うが)究極の説明型だと思うし、究極だから面白いです。
だから、もし説明型の演技を追求するとしたら、歌舞伎に代表される伝統芸能並みに練習しないといけないはずなのです。
中途半端にやると嘘くささ全開の下手糞な演技になってしまいます。これが説明型の演技の怖いところなのです。
アニメの声優さんみたいに感情を120%出し切らなければなりません。
それができないと、やはり中途半端になってしまいます。
日本の役者が、世界に比べて演技が下手だと言われているのを知っていますか?
日本の役者さんが演技が下手だと言われる理由の一つは
日本の役者さんは独学で演技している人が多い点でしょう
モデル出身だったり、アイドル出身だったり
かれらは絶対に演技の勉強をしているとは思えません
また彼らを演出するテレビドラマのディレクターさんや監督さんだって、本格的に”演技法”を学んでいる人は少ないのではないでしょうか?
だからといって世界のやり方に染まれという訳ではありません。
日本の役者さんもリアル型の演技方をもっと学んでもいいのでは?と思うのです。
そうすれば、可能性も広がるはずです。
そもそもリアル型の演技とはどういったものか?
あの世界の名優『ホアキン・フェニックス』の映画『ジョーカー』を観ることをおすすめします。
彼の演技がなぜすごいのか?『ジョーカー』をみるとわかると思います。とりはだものですよ。
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がっこうがなければ、本から学ぶことはできます。
メソッド演技法を学ぶならこちらの本が参考になります。
ほかのサイトでも紹介されています
俳優を目指す人のバイブル的な本です。
俳優の演技の基礎の基礎が載っています。
あなたが俳優であるなら、読んでいないほうが”やばい”かもしれません。
リアル演技を好む理由:其の①
なぜ自分がこんなにリアル型の演技を好むかというと
リアル型は、観る側が想像できる「余白」があるからです。
人の感情は複雑で、一辺倒ではありません。
怒ってるのに泣くし、辛いときでもそれを感じさせなかったり様々です。
それに観ている側(お客さん)はバカではありません。
だから、その役が今感じているだろう感情を全で、ちくいち説明されるのは
はっきりいってうるさいし
説明しなくてもわかるし
余計なお世話です
演じている方は気持ちがいいんだろうけどね。
芝居も、一応芸術の一つです。(自分は崇高なものだとは思っていませんが…)
絵画などの美術作品みたいに、"みる側の想像力"込みで完成するべきです。(ミロのビーナスとか)
お芝居の世界では
「お客さんが劇場に入ってこのお芝居は完成する」
という格言みたいなのがあります。
"観る側の想像力も込みで"という意味も含まれているのだと思います。
説明型の演技を好まない理由:其の②
説明型の演技を好まないというか、目指さない理由があります。
それは、説明型の演技を目指している限り、説明型の頂点を極めた彼ら(歌舞伎役者さんや能楽師さん、また他の人気の芸能人たたち)に演技で一生勝つことは不可能だからです。
逆に憑依型の演技を身に付けると、今売れている人たちが出来ない、”普通”を演じることが出来ます。
普通とは一般の人々というより、”普段の行動”をリアルに演じることが出来るという事。
キムタクや市川海老蔵さんたちに、普通の行動を演じるのは不可能です。
だってあの有り余るオーラを抑えることは不可能ですよね?
そして、普通を演じることこそが、実はかなり難しいことなんです。
物語に出てくる登場人物は、ほとんどが一般の人たちです。
その一般の人々を自分たちがとてもリアルに演じることが出来たら、一般人であるお客さんの共感を得られるのはまず間違いないはずです。
観てる側の想像力がかきたてられるような、そして共感できるような舞台や映画やドラマをみてみたいし、演じてみたいなぁ。