メンタル 演技の技術

演技を変える難しさ

今、七月の舞台の稽古に入っていますが、稽古を見ていると、役者がとても苦労している場面出くわします。それは

演技を変えること

演出の指示があって、もう一度同じ場面を演じるのですが、一緒なんです。

でも当の本人は変えているつもりなんです。

でも、見ている側からしたら、全く変わっていない。

この演技を変えることって、結構難しいようです。

この記事では、演技を変える方法を伝授します。

不器用だと嘆く役者さんぜひとも、役立ててください。

演技を変えられない理由

演技を変えられない理由は二つあります。

真面目過ぎるという性格も原因ではあるのですが、

ここでは、技術面でのお話に限定します。

演技を変えられない一つ目の原因は、 一人で演技しているから。

真面目な性格故、自宅で演技プランを一生懸命練ってきて、それを稽古場で披露している。

これが原因です。

そしてこの自分で練ったプランから、抜け出せなくなってしまうのです。

自分で作ったプランの中でしか、演技が出来なくなっているわけなのです。

いいですか?演技の基本は、空間があって、相手がいて初めて成立するのが基本です。

相手の演技を自分の中で予測して、練ったプランなんてはっきり言って意味がありません。

そもそも役者が演じる対象が、人間であるのですから、普段の人間と同じ行動理論に基づいていていないといけないのです。

人はその瞬間その瞬間に考えながら、行動しています。

だから演技も基本的には一緒でないといけないのです。

決まっているのはセリフだけ。

セリフの言い方も、表情も、動きも、もちろん感情も決まっていません。

でも真面目な人は、不安だからプランを練ってくるのです。

役者が家で考えるのは、セリフの言い方や、どう動くかではありません。

演じる役がどういう人間かを考えた方がいいです。

その役の癖みたいなものや、なぜそういうセリフを言ったのかを考えるべきなのです。

どうセリフを言おうかなんて、考えるだけ時間の無駄です。

芝居の稽古でも、本番も基本的には人の行動原理に基づいて演じましょう。

だから、役者は毎回新しい演技を生み出さないといけないのです。

毎回新鮮でなくてはいけないのです。

それが役者の仕事です。

二つ目の理由は 一度生み出した演技をなぞろうとするから

稽古にて一度生み出した演技を、何故かなかなか変えることが出来ない役者さんは多いです。

本当は 、変えることは自体は難しくないんです。

でも変えられない。

なぜか?

プランに縛られているから。

今回のプランは、自分で練ってきたプランではありません。

昨日の稽古で、”良し”といわれた演技があったとします。。

すると役者は次の稽古で、また同じことをしようとします。

これが正解のようで、大きな間違いです。

一度できた演技をする必要がどこにあるのでしょう。

同じことをするなら、稽古しなくてもよくないですか?

役者は常にチャレンジしなくてはいけません。

さらにいいものを目指すため、また違ったアプローチを探すために稽古をするのです。

つまり一度出した演技は捨てること。

これが基本です。

というか、一回の演技で正解だと思う役者は異常です。

演技には正解はありません。

正解とか間違えとか考えている時点でおかしいのです。

演技を変える方法

では、なかなか演技を変えられない人は、どうすれば演技を変えることができるのでしょうか?

演技を変えるためのコツは

  • 『変える』ことだけに集中して、200%の力で変化させる。
  • 大げさに、自分が気持ち悪いと思う以上の事をする。
  • そのためにプランは全部すてる 。

極論を言うと、”どう見える”とか”どう見せよう”とか考えずに”無理やり変えること”だけに集中しましょう。

稽古するたびに固まっていく演技を、ぶち壊しましょう。

失敗してもいいんです。そのための稽古ですから。

稽古するたびに固まっていく演技を、ぶち壊しましょう。

やってみると、意外とその演技がハマったりするんです。

でも次は通用しません。

その”変えることへの集中力”のコントロールが、カギを握っているわけです。

演出の指示に従うのも役者の仕事の一つ

そもそも役者は

演出の意向に則っていくのも、一つの仕事ですから。

演出が「そのセリフゆっくり言ってみて」

と言われたら

ゆっくり言わないといけない。

それは演出の”イト”があるから。

”その演出でどう芝居が変わるか?”試しているわけなのです。

だから、もしゆっくり言わなかった場合、

そのターンの稽古時間は無駄になるわけです。

でも変えるのが、なかなか難しい。

稽古を観ていて、多いのが

”変えたつもり”

  • 役者は演技を変えているつもりでも、全くというか、ほぼほぼ変わってない。
  • 微妙には変わっているけど、変わった内に入らない程度。

というのが多い。

だから

  • 演技プランに気を取られない集中力。
  • どこをどう変えるのか細かく、振り幅は大きく変えることに集中。

が重要

演技をする上で一番大切なこと

そしてもうひとつ大事なのが。

相手の演技が変わったら、自分の演技も変える。

ということ

これも一つの集中力。

  • その場、その瞬間に集中。
  • 余計なことは考えない集中。
  • 相手の一挙手一投足に集中。

演技とは、瞬間瞬間に生まれないといけないのです。

”プラン”なんて捨ててしまいましょう!

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