映画レビュー 演技の技術

安藤サクラから演技を学べ!今あなたが見るべきおすすめ作品4選

あんたが役者であるならば、こう考えない日はないのではないでしょうか?

 

「演技が上手くなりたい」

 

演技の上達するためには、やはり演技が上手い人から学べばのではないか?

 

という事で、今回の学ぶべきお手本とする役者さんは『安藤サクラ』さんです。

『安藤サクラ』さん、いわずと知れたメチャクチャ演技が上手い役者さんですね。

彼女の演技になんど度肝を抜かれ、なんど惹き込まれたことか…

 

そんな演技の上手い彼女の作品から演技が上手くなるコツを得られたらよくないですか?

 

この記事では、安藤サクラさん出演のオススメ作品の紹介と

今も現役で演技をやっている自分だからこその”役者目線”で、安藤サクラさんの演技の凄さの解説と、その演技から学べる演技のコツを私なりにお伝えできればと思います。

 

✅読んでほしい人

  • 演技が上手くなりたい人
  • 安藤サクラさんにあこがれている人
  • 安藤サクラさんのおすすめ映画を知りたい人

 

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※作品を紹介する前に
”模倣する”とは、演技が上手い人の演技のビジュアルを模倣することではありません。
”模倣する”のは、その演技の生まれた過程、その演技が生まれた理由、その生まれた時の状況や役の感情を知ることです。

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安藤サクラから演技を学べ①万引き家族

『万引き家族』作品の概要

2018年の作品。監督脚本:是枝裕和。キャストは、柴田治:リリーフランキー、柴田信代:安藤サクラ、柴田初枝:樹木希林、柴田亜紀:松岡茉優、柴田祥太:城 桧吏、ゆり(りん、北条じゅり):佐々木 みゆ、ほか。

この作品はある二つの事件が元となっているといわれています。

その二つの事件とは

①足立区111歳年金不正受給事件

2010年に足立区で戸籍上「111歳」の男性の遺体が発見される。

実際この男性は1978年に死亡していた(容疑者家族談)。にもかかわらずこの男性の家族が、彼の死を隠し、年金を不正受給していた。

 

②大阪吹田市 子どもに万引きさせる窃盗事件

父母、子供三人の五人家族。

ある釣具店にて、両親が店員に話しかけている間に、子供たち三人に万引きをさせるという事件が起こった。当時、その釣具店の入り口に設置してある防犯ブザーが故障していた。店員の話によると、その日ある家族が店にやってきた、家族で何やらある算段を行った後、そのうちの両親二人に質問攻めにあって、そのまま何も買わずに帰った家族がいた。不審に思った店員が防犯カメラを見るとそこには、両親が店員に質問攻めをしたいる間に、売り物の釣り具を盗み出す子供たち三人の映像が残っていた。

その後逮捕された両親は、月40万の給料をもらっていたのにもかかわらず、生活保護を不正受給していたことが分かった。

 

この二つの事件を元に作られた作品といわれています。

『万引き家族』あらすじ

あるスーパーにて父親と幼い息子が買い物をしている。

しかしどうも様子がおかしい。

それもそのはず、彼らは万引きの常習犯だったのです。

そんな万引きの常習犯でもあるふたりが暮らす柴田家は、年金受給者の祖母と父と母、そして長女と長男の五人で、貧しいながらも笑顔が絶えない一見すると一般的な幸せそうな家族でした。

しかしこの家族には”万引き”以外に”ある秘密”があったのです。

 

柴田家の父と息子はいつものように万引きを終えた後あるアパートの前で、ベランダに追い出されたいた幼い少女(ゆり)に出会います。

そして、あろうことか父はその少女を家に連れて帰ってしまうのです。

母の信代はその少女の体に虐待の痕跡を見つけ、そしてその少女を柴田家でかくまう事を決めてしまいます。

その日から、六人家族となった柴田家。

 

しかし徐々に物語が進んでいくと、この家族のいびつな秘密が明らかになっていくのです。

 

家族とは何のか?を問うた作品。

 

『万引き家族』おすすめポイント

この作品の注目すべきポイントは、新旧女優達の演技です。

某有名ハリウッド女優さんにも絶賛された安藤サクラさんの演技は見ものです。

そして、故樹木希林さんの演技もとてつもものとなっています。

『万引き家族』から学ぶべき演技の注目ポイント

ポイントは、この素晴らしい演技が生まれた理由をしることが重要だと思います。

ポイントは是枝裕和監督の演出方法です。

是枝監督は基本、役者に台本を渡しません。いうべきセリフは口頭で伝えます

ケイント・ウィンスレッドが絶賛した映画の最後のシーンでは、信代演じる安藤サクラを尋問する警官(池脇千鶴さん演じています)に、是枝監督はホワイトボードでセリフを書きながら伝えたそうです。

もちろん安藤サクラさんはなにをされるか、何を言われるかわからない状態でした。

そんな状況下で、警官から尋問を受けるシーンを撮影したのです。

 

そのセリフを言われて、信代はどう反応しているのか?信代は何を感じているのか?謎このような言葉が出てきたのか?

大事なのは、表面ではなくて内面を分析しることです。是非分析してみたください。

 

そんな演出方法で、あんなにも素晴らしいリアルなシーンが生まれたわけです。

 

別に、是枝監督みたいな演出をする人に出会いましょうといっているわけではないです。

 

もちろん演じた安藤サクラさんの技量も素晴らしいのも事実です。

 

演技とは基本”予想できないもの”でなくてはならないのです。もちろん相手のセリフや自分がどのようになっていく(未来)のかも含めてです。

難しそうに感じるかもしれませんが、予想できない事なんて、実際の生活では当たり前に起こっています。

未来を予測する超能力がある場合は別ですが…

 

だから、演じる上でもその”何が起きるかわからない”状態に近づけないといけないわけです。

 

長年演技に携わってきた自分が分かった事があります。それは

 

  • 演技は色あせるもの。
  • 同じ演技は鮮度が落ちるもの。

という事です。

 

どういうことかというと、たとえば稽古で何度も同じシーンをやれば練習すればする程、だんだんと演技の型のようなものが出来上がりまた、そのシーンにあなたが慣れていくので、リアクションなどの新鮮さは失われていくでしょう。

新鮮さが無くなる=リアリティから遠ざかるのです。

だから役者さんは毎回新鮮に演じなければならないのですが、私はそれには限界はあると思っています。

 

演技というのは基本的は、生まれた瞬間が一番面白いのです。

 

その一番最初の演技は演じている自分自身でさえ予想がついていないからなのです。

 

それが究極だと私は思っています。

そして、予想できない演じ方を手に入れるには、稽古で、

  • 毎回真剣に手を抜くことなく
  • 周りの状況に敏感に感じるように神経を研ぎ澄ませる

という状態まで自分を常に追い込む事が重要なのです。

 

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安藤サクラから演技を学べ②百円の恋

『百円の恋』作品の概要

2014年の作品。監督:武 正晴、脚本:足立紳。キャスト、主人公斎藤一子:安藤サクラ、狩野祐二:新井浩文、など。

この作品で、日本アカデミー賞優秀作品賞、最優秀主演女優賞、優秀脚本賞、優秀監督賞などを受賞。またブルーリボン賞も受賞する。

『百円の恋』あらすじ

斎藤一子は32歳。彼女は実家で引きこもりの自堕落な生活を送っていた。比較的快適に生活していたが、結婚して家を出た妹が実家に帰ってきたあたりから雲行きが怪しくなる。

とうとう家を追い出されてしまった一子は、独り暮らしをしながら、バイトを始める。

32歳の元引きこもりを雇うバイト先(百円ショップ)なんてたかが知れているわけで、あまりいい仕事環境ではなかった。

そんなある日、ある男(狩野祐二)をみかける。その男はボクシングをやっていて、その頑張っている姿に一子は惚れてしまう。

その後、彼の忘れ物を届けたことをきっかけに、一子はデートに誘われる。

自堕落で引きこもりをしてきた一子は、当然異性とのデートの経験がなく、おしゃれの仕方もわからないが、彼女なりに頑張ってデートの日を迎える。

しかし、実は狩野という男はただのダメ男だったのです。

誘われるがまま体の関係まで持ってしまった一子。しかし狩野はただ女を抱きたかっただけだったのだ。

その失恋をきっかけに一子はボクシングにのめり込み、ボクシングを通して自分を変化(成長)させていくのである。

『百円の恋』おすすめポイント

ポイントは役作り。

安藤サクラが実際にボクシングを学び、それを映画の中で披露していること。きちんとボクサーとしての動きを身に付けていますよね。

元々ボクサーの経験はあったようですが、それにしても素人とは思えない素晴らしい動きです。

また、安藤サクラさんは一子を演じるにあたって、体型もプラスからマイナスへ変化させています。

 

実際の撮影は14日間しかなく、最初の四日間で太った状態のぷよぷよの体を撮影。その後10日間で体を絞り切って演じたそうです。

驚きですよね。

そして映画ないでの一子は、物語のはじめでは不潔でとてもブサイクな女性です。しかし最後のシーンではすごく可愛く見えるのです。

”この役を一人の役者さんが演じているという衝撃”は今でも忘れられません。

『百円の恋』から学ぶべき演技の注目ポイント

やはり安藤サクラさんの役作り。これに尽きるでしょう。

あなたがもし同じ役を演じるならば、やはり同じようにボクシング技術とダイエットを同時にこなすことが必要になるというわけです。

確かに14日間では難しいかもしれませんが…

でも貴方が実際にボクシングができるようになることがこの役を演じる場合とても重要なのです。

その努力=説得力となって、観ている観客の心をつかむでしょう。

 

昔あるテレビドラマで、某有名女優さんが高校バスケットボールのエースという役柄を演じていました。

しかしその女優さんは運動音痴だったのか知りませんがとてもバスケットがへたくそに見えました。

実際のドラマ内での試合のシーンでは、どう見てもずぶの素人にしか見えない主人公が下手くそなドリブルして、そしてなぜか周りはそのドリブルに翻弄されるという、もうコントにしか見えないシーンが出来上がっていました。

こんな演技を素晴らしいと思うはずはありません。

当然、見ている人を物語に引き込むことなんて不可能です。

 

もしあなたが何かの役を演じる場合、体型にまでもこだわってみましょう。

技術にこだわってみましょう。

 

あなた自身がリアルで体現することによって、その役はあなたの内面に入り込みます。

するとその役はあなたのオリジナルのものとなります。

 

また体系を変える必要がない役だったとしても、役をあなた自身の内側に入れ込むことが演技をする上でとても重要になるのです。

 

貴方のオリジナルを積み上げましょう。

役作りを学びましょう。

あなたがそれを身に付けて初めて演じることが出来るのです。

 

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安藤サクラから演技を学べ③0.5ミリ

『0.5ミリ』作品の概要

2014年の作品。監督脚本は安藤サクラの実の姉である安藤ももこ。安藤ももこが書いた原作小説から撮られた映画。キャスト、山岸サワ:安藤サクラ、片岡雪子:木内みどり、片岡マコト:土屋希望、佐々木健:江本昭、真壁義男:津川雅彦など

『0.5ミリ』あらすじ

介護ヘルパーである山岸サワは、ヘルパー先の父親の介護をしている片岡雪子に、先のない人生であろう父親の”添い寝”をして欲しいと頼まれる。

それに承諾するサワ。老人の添い寝を決行するが、ボケていたハズの老人がエロパワーを発揮して、サワに襲い掛かる。

階段を転げ落ちながら難を逃れたサワ。一階にたどり着くと、片岡雪子が首をつっていた。そしてそのそばに、一言もしゃべらずに呆然と立ち尽くすマコトの姿もあった。

その事件をきっかけに、サワは仕事と住まいを失ってしまう。

そこからサワは、おしかけ介護なるものをはじめ、そのサワの人間性から、先のない老人たちに生への輝きを灯していく。

そんなある日、あの片岡マコト、再会を果たす。片岡マコトは、マコトが生まれた時にはすでに家を出たいた父親と暮らしていた。

『0.5ミリ』おすすめポイント

か介護という社会問題に鋭利にそして個性的に切り込んでいる作品です。

冒頭のシーンがとにかく衝撃的です。

そしてその衝撃的なシーンからは想像できないくらいのホンワカしたシーンが続きます。

それを可能としているのが、山岸サワ演じるのが安藤サクラさん演技力だと思います。

演出をされているのが実の姉である安藤ももこさんだから事、安藤サクラさんの良さを知り尽くしているような演出が素晴らしいです。

『0.5ミリ』から学ぶべき演技の注目ポイント

役者さん自身の強みを知ること。この作品では彼女の強みが監督によって引き出されていると思います。

安藤サクラさんの表情って誰にもまねできないと思います。

何を考えているのかわからないけど、何か感情が生まれていて、その何かわからない感情が、観ているものの心を打つのです。

 

貴方の強さ=オリジナリティにつながる。

貴方の得意は役柄のジャンル、また特異な分野があると思います。

それを見つけましょう。そして、その得意なジャンルを演じる感覚を研ぎ澄ませましょう。

安藤サクラから演技を学べ④愛のむき出し

『愛のむき出し』作品の概要

2009年の作品。監督脚本:園子温。キャスト、本田悠:西島隆弘、尾沢洋子:満島ひかり、コイケ:安藤サクラ、など。

ベルリン映画祭にて「カリガリ賞」「国際批評家連盟賞」を受賞。

『愛のむき出し』あらすじ

敬虔なクリスチャンの家で長男として生まれた(ユウ)。幼き日に母親に「あなたはマリア様みたいに女性に出会いなさい」と教えられる。しかしその母親はユウが幼い時に亡くなってしまう。悲しみに暮れる父親は、牧師となるが、熱心さが屈折、一人息子のユウに毎日懺悔をさせるようになります。ユウが高校生になると、父は出会ったカオリと恋に落ち一緒に暮らそうとした矢先、三カ月で捨てられてしまいます。それをきっかけとして父はさらに屈折してしまいます。毎日のように懺悔を強要しますが、さすがに毎日懺悔する罪などないユウ。すると父は罪のない息子のユウをひどく罵倒するようになります。

するとユウは、罪を懺悔するのではなく、懺悔をするために罪を犯すようになります。

やがてそれはエスカレートしていき、ユウは盗撮のカリスマとして成長していくのです。

そんなある日、ユウ罰ゲームで女装をしている時(サソリと名乗っている)にマリア様というべき女性ヨーコに運命的な出会いを果たし、恋に落ちます。また同じようにヨーコもサソリ(ユウ)に恋に落ちます。

しかしヨーコは大の男嫌い。そして、ヨーコはかつて父を捨てたカオリの娘だったのです。

そして、そこにコイケという女が加わり、ヨーコをはじめカオリそして父親までもがコイケに洗脳されるようになります。

ヨーコを取りもどそうとするユウ。

ユウの取った行動は…

『愛のむき出し』おすすめポイント

満島ひかりの演技。異彩を放つ安藤サクラ。あの顔が印象的。

『愛のむき出し』から学ぶべき演技の注目ポイント

先の見えない演技をする。

次誰がセリフを言うのかわからないでだけで、観ている側はワクワクします。どうなるんだろうと心躍らせます。

そのためにはニュートラルであることが重要です。

そして『間』を外すことが重要です

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まとめ

安藤サクラさんの演技から学べる事

  • 自分でさえも予想できない演技をする
  • 役作りの徹底
  • 自分の強みを知る
  • 先の読まれない演技をする

これらは、演技をする上でとても重要なことだと思います。

ぜひとも参考にしてみてください。

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