監督:野村 芳太郎
脚本:井手 雅人
キャスト:渡瀬恒彦、十朱幸代、若命真裕子(子役)
概要(受賞歴等)
1980年に制作されて作品、最近では2014年にBlu-ray化された。
・簡単なあらすじ
三好家の昭と邦江の一人娘の昌子がどぶ川で遊んでいたら、釘で指先をけがしてしまう。
なんてことないただのかすり傷だったのだが、そこから破傷風菌が入り込み、そこから壮絶な闘病生活が始まる。
サスペンスなのかホラーなのかわからないが、破傷風に侵された娘の生死をさまよう姿と、精神的に追い込まれていく両親が中心の作品。
・評価
★★★★☆ (★5が満点)
・総合評価
1980年代の今から40年前の作品。当時はメジャーで死亡率も高かった破傷風の恐怖をホラーテイストで描かれているのだが、かなりショッキングな作品。
かなり描写がリアリティーがあるので、今では結構問題になる可能性があるかも。
装飾や喫煙シーンがあったり古臭さは感じるが、演技や演出は素晴らしいと思う。昔の作品の方がきちんと等身大を演じられているよね。
現在でも破傷風で年間100人は無くなっているそう。
・いい点
娘役を演じた女の子の演技がすさまじい。病状描写のすさまじさもそうだが、日常の感じが普通の女の子なのがいい。全然いきっていない。
また全体的に役者さんの演技が余計なことをしていないんです。そこがとてもいい。見ていて邪魔にならない演技。
十朱幸代さんの髪を切るシーンとかやばいよね。あれ地毛でしょ?
・悪い点
当時の破傷風の治療方法があまり刺激を与えないように病室に明かりが入らないようにしたいるため全体的に画面が暗いかな。まぁいい点でもあるんですけども。
・この映画から役者として学べるポイント
まず演技がいきっていない。それは主要人物だけではなくて、病院内の医者や看護師や患者さんの演技も素晴らしいです。全然やってる感がない。これなんですよ。いたって普通でしょ?演出がいいのでしょうか?
カメラを、演出を、意識しすぎていないように感じる。
ただそこに居て、そこで感じて、表現している。
ものすごい集中力だと思う。
今に集中。マインドフルネスですな。
・この映画からの応用ポイント
昔の日本映画のこういう演技のアプローチとか、今の役者さんはマネをしたほうがいいですよ。上手いと思う、昔の役者さんの方が。
でもそれってよくよく考えるとやばいよね。退化してるんだよ、技術が。ちゃんとした演技もできるほうがいいって。エンターテイメントもいいけど、こういうリアリティーのある演技ができないとやばいと思う。
感情は別に表に出す必要はないんです。感情を解かりやすく伝えることは演技ではありません。
そういう演技が多いから、何を考えているのかがわかりやすい、バカみたいなキャラばかりになるわけです。
よくそういうキャラが出てくるドラマ多いですよね?
あんな何を考えてるかわかりやすい人は、世の中にそうそういないです。
いいですか?役者さんは感情を表現するのが仕事ではありません。
ただそこに居て、その役のやりたいことに、目的に向かっていけばいいだけなんです。
何を思っているのかわからせる必要はありません。
それは台本に書いているから、役者が上乗せする必要ないんです。
余計なことはしない。この映画はそれが出来ているから素晴らしいのです。
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