今年2021年4月23日に第四作『るろうに剣心 最終章 The Final』と6月4日に第五作『るろうに剣心 最終章The Biginning』の上映が予定されている、実写版『るろうに剣心』。
”漫画原作の実写映画化”と聞くと、目も当てられないような駄作が多いというイメージがあるなか、なぜこの実写版映画『るろうに剣心』だけがこれほどの成功を収めているのか?
なぜ?
- そもそも、この作品が他の漫画原作の作品とどう違うのか?
- 評価が高い理由は何なのか?
- その”評価が高い”に傾向があるのか?
この記事では、他の漫画原作の実写化映画とちがって、『るろうに剣心』実写映画が成功を収めた理由を分析していこうと思います。
もし、漫画を実写化した『るろうに剣心』の映画の”評価が高い理由”が解かれば、今後漫画実写化映画の駄作を見なくて済むかもしれません!!
Contents
◆『るろうに剣心』作品の詳細
『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』(るろうにけんしん―めいじかんかくろまんたん)というのが正式名称です。
和月伸宏さんによって描かれた漫画で、1994~1999年までに少年ジャンプにて連載された、アニメ化もされて大人気となった作品です。
この作品の舞台は、日本の明治時代初期です。
主人公は、不殺(ころざず)を誓い、かつては【人斬り抜刀斎】と恐れられた伝説の剣客、緋村剣心。
明治維新後の廃刀令が発令され、平和が訪れ始めた時代。
彼は、剣を捨てきれない”かつての強敵たち”と【人斬り】としての贖罪(しょくざい)の答え、そして新時代をどう生きていくかを模索していく物語です。
『るろうに剣心』実写化映画の評価がなぜ高いのか?①原作が実写化にむいていたから
この『るろうに剣心』の映画が成功したもっともの理由は、この”原作である漫画が実写化のむいている作品だから”だと思います。
なぜ、実写化に向いているのか?それは
- 作品が時代劇だったから
- 設定が現実からかけ離れすぎていないから
- 年齢設定が幼すぎない
解説していきます。
作品が時代劇だったから
この『るろうに剣心』の舞台が、明治時代初期つまり時代劇だったという事がこの映画が評価が高い理由です。
つまり、【るろうに剣心】=時代劇アクション映画なのです。
そしてこの時代劇アクション映画であることが、【るろうに剣心】の実写化作品が面白くなった要因なのです。
なぜ時代劇アクション映画だと面白いのか?
- 時代劇自体がフィクションである
- 時代劇を作るのに慣れている
解説していきます。
①時代劇自体がもともとフィクションである
時代劇自体がそもそもフィクションであるから
ポイント
ここでいうフィクションとは、【史実に基づいていない、架空の話】の言う意味ではなくて、【実際にその時代にリアルに生きていた人の会話のテンポ(発生も含まれる)や行動(仕草とか)や生活ではない】をさしています。
どういうことか?
時代劇とはそもそも文献などから、現代人が想像して作っている作品です。
着ている衣装や髪型は文献から引用されているかもしれません。
しかし、その時代に生きていた人たちの会話の話し方や、体の動かし方、一般人の普段のテンションや行動、癖などは、想像の域を出ません。
映像として残ってないし、その時代に生きていた人が今生きているはずないですからね。
では、なぜ”時代劇の人々の生活が想像の域を出ない事”が”面白い”につながるのでしょうか?
おもしろい理由につながることを説明するには、お芝居などを観ていて”演技が嘘くさい”とか”下手”とか感じる原因を知る必要があります。
演技を嘘くさいとか下手と感じる原因
映画での”役者さんの演技”と映画を見にきた”お客さん自身の実際の生活や会話の自分自身のリアルな経験”を無意識で比較して、その違いからくる違和感が”嘘くさい”や”下手くそ”と感じる。
ふだんの自分や周りの人々と、役者さんの演技に違いがあれば、その演技は下手くそだと感じるのです。
その点、時代劇の設定の当時の人々のリアルは誰も知りません。
その為、演技と比較するリアルがそのものがないので、演技からの違和感は、現代を演じるより生まれにくいのです。
さらに日本の昔からある嘘くさくて解かりやすい時代劇より、リアル(現代人のリアルである)に近いテンションで演じらているので更に違和感はないでしょう。
だから、現代を舞台にした漫画の実写化作品よりは、違和感が少ない=面白いとなるのです。
②時代劇を作るのに慣れているから
またこの映画が時代劇であるという事に、【るろうに剣心】が評価が高いもう一つの理由があります。
それは、日本という国が日本の時代劇を作るのに慣れているからです。
これは当然ですよね。
時代劇だから衣装の問題、セットの問題、また剣殺陣などは、昔から作られてきているものです。
当然慣れているし、お金もゼロから作るよりは、安く済むはずです。
また、実写版『るろうに剣心』では衣装やセットがとてもリアルに作られていて、土のにおいとか汗のにおいが漂ってきそうな感じが凄くリアルに表現されています。
また、緋村剣心の十字傷も、アニメだと赤く書かれているが、映画ではリアルな傷跡に近い色合いで”浅黒く”表現されています。
設定が現実からかけ離れすぎていないから
現実からかけ離れていないとは、どういうことか?
あり得ない程逸脱したもの、現実から掛け離れしすぎる設定が登場していないという事です。
逆に「現実離れしすぎている」という作品の例を挙げるとしたら『進撃の巨人』がいいでしょうか。
『進撃の巨人』は、塀に囲まれた国に、巨人という存在がいて攻め込んでくるという設定。
この現実離れした”巨人を実写化する”のには当然CGを用いるしかありません。
しかし、日本の技術では、というよりかかっている製作費ではたかが知れています。
日本の映画業界は、ハリウッド映画と比べると、制作費が月とスッポンです。
当然CGなどのお金のかかる技術は、劣るのは当然です。
また同じように、進撃の巨人に登場する”立体機動装置”もリアルに表現するのには、とてつもない技術とお金が必要になるでしょう。
また、『ドラゴンボール』も、あの人間離れした力、アクションを実写版として再現するのはとても難しいと思います。
その点、るろうに剣心は、多少変なキャラクターは出てきますが、剣術というアクションが、それ程現実から逸脱している設定ではありません。
演じられているアクションは、ドラゴンボールの飛んだり気を飛ばしたりというアクションよりは、ジャッキーチェンのアクションや、ミッションインポッシブルみたいなアクションに近いはずです。
原作の年齢設定が幼すぎない
主人公たちの年齢も、役者さんたちの年齢に近い(キャラクターに成人が多い)のも一つの理由でしょう。
悪い例
『永遠のネバーランド』の場合、作品の実写化にあたって、主人公達の年齢(一番年長で12歳。子供たちの平均年齢はもっと幼い)を変更せざるをえませんでした。
原作と違う理由は、キャスティングされた役者さんの年齢に合わせたからです。
キャスティングされる役者さんはお客さんを呼べる有名で人でないといけません。
原作通りの12~3歳の無名の若い役者さんを使うなんて、スポンサーさんがお金を出すはずありません。
その点、るろうに剣心の主人公は、28歳という少年雑誌ではめずらしく高年齢の主人公です。
こういった原作の年齢設定も実写化に向いていたのです。
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『るろうに剣心』実写化映画の評価がなぜ高いのか?②脚本が素晴らしい
映画を作るうえで当然大事になってくるのが、作品の軸となる脚本です。
映画一本(120分ほど)で表現するストーリーの範囲がちょうど良かった
日本の漫画を実写化するにあたって、とても大きな困難となるのが、ストーリーが長いという事でしょう。
ジャンプは週刊誌ですからなおさらです。
その長いお話を映画化するにあたって、2時間程に内容をまとめないといけません。
とうぜん、削らなければならないシーンやキャラクターが出て来ることもあるでしょう。
じっくり進む、丁寧に描かれたシーンも、驚くほど短くまとめたりしなければなりません。
その為、原作ファンからは、「ふざけんな!原作と全然違うじゃねーか!」とか「ただの総集編じゃねーか!」といわれてしまうのは当然なのです。
その点、『るろうに剣心』の第一作目は、長すぎない無理のない範囲を2時間にまとめたのでちょうどよくいい感じにおさまったのです。
確か映画第一作は、単行本で第4巻まで、アニメで言うと1話~11話です。大体230分くらい。そして映画は136分です。
この時間をみても、無理やり作った感がないのは当然ではないでしょうか。
『るろうに剣心』実写化映画の評価がなぜ高いのか?③演出がすばらしい
やっぱりこの作品が素晴らしいのは、(この作品の売りであり、見どころでもあります)演出(特にアクション)が素晴らしいのです。
アクション映画として、とても完成度が高い
やはりこの作品のアクションの演出は素晴らしかった。
あの無茶苦茶なスピーディーなアクションを実際に役者さんが演じているのです。すごくないですか?
「キャストさんの身体能力どうなってるんだよ!!」
しかも見事に原作の技を取り入れつつ、漫画ではなく、実際のリアルなアクションシーンに変換できているのです。
この素晴らしいアクションを演出した、アクション監督の方が谷垣健治さんという方です。
この谷垣さんという人とてつもなく凄い方で、もともとジャッキーチェンの映画を見て、ジャッキーチェンにあこがれて少林寺拳法をはじめ、全日本に出場した経験を持っています。
そしてそのあこがれの存在である、ジャッキーチェンの『酔拳2』のスタントを実際に務めたり、また香港のアクション俳優でアクション監督でもあるドニー・イェンにも認められた人で、ドニーイェンから『燃えよデブゴン TOKYO MISSION』のアクション監督を任せられたほど信頼されました。
それほどアクションにおいて世界的でトップクラスの人が、この実写版るろうに剣心のアクション監督を務めているわけです。
『るろうに剣心』のアクションは普通の剣の殺陣と違って、剣の他に拳や蹴りを織り交ぜたり、飛びまわったりするアクションです。これは日本の剣殺陣だけでは表現はできません。
この谷垣アクション監督だからこそ表現できたのでしょう。
CGを使わずに実際の役者さんの肉体で、演じられています。その上で『るろうに剣心』で登場する技を表現しているし、また原作にはないブレイクダンスなどを取り入れたアクションなどもあって、観ていて鳥肌がたちます。
そんなアクションがふんだんにある作品が、つまらないはずありませんよね。
そして、またそれを見事に再現する役者さんたちの身体能力の高さにも驚愕です。
実際に映画を観たら、やばいですよ!!
技の名前や叫び声が少なかった
原作やアニメでは、必殺技を叫んだり、絶叫しているシーンがいくつもあらります。
しかし実写版『るろうに剣心』では技名をほぼ叫んでいません。また絶叫もしていません。その事が、この『るろうに剣心』の実写化映画が成功したもっとも大きい点だと思います。
そもそも漫画で技名や奇声を発するのは、絵と文字で緊迫感やエネルギッシュさを表現するために編み出された手法の一つです。
ただこれを現実=リアルにやると嘘くさ120%となります。漫画原作の2.5次元の舞台みたいになってしまいます。(⇐好きな人は好きだけどね)
ただそういった行為は、リアルの世界での格闘技ではあり得ない事です。
格闘技で叫びながら戦っている人ってほとんどいませんよね。プロレスはショーでもあるので省きます。
実際格闘技でしゃべりながらやったら舌咬んじゃうし(だからマウスピースをしている)、相手に次何やるかバレちゃいますからね。
また格闘技じゃなくても、スポーツでも叫ぶ人いないですよね。ドリブルしながら叫んでいる人いませんよね。指示出ししてリハしますけど。また自分のサーブが決まった後叫んだりはしますが、技を叫んだり、「うぉぉぉぉぉ」なんて叫びながらやっている人は皆無です。
その言葉を発しない事で軽さや嘘くささが消え、リアルが故の緊迫感や空気感がうまれるのです。
『るろうに剣心』実写化映画の評価がなぜ高いのか?④キャストの再現度が素晴らしい
やっぱりとにかくキャストの再現度が素晴らしい。
下手な人がやるとただのコスプレになってしまうところを、まぁよくもこんだけリアルに再現できたなと思います。
キャストの再現度
何といっても主人公の緋村剣心を演じている【佐藤健】さんがメチャクチャはまり役です。見た目のあの甘いルックスは当然なのですが、あの超絶アクションを体現してしまう身体能力の高さとキレ。彼にしか緋村剣心を演じられる人はいないでしょう。超似ている。そして衣装も素晴らしいので、コスプレみたいな安っぽさはみじんも感じません。
またし四乃森蒼紫を演じた【伊勢谷友介】さんや、瀬田宗次郎を演じた【神木隆之介】君も素晴らしかった。あの”縮地”を見事にリアルに表現できているのには心躍ること間違いないでしょう。
他のキャストさんも皆さん適役過ぎて笑ってしまいます。
鵜堂刃衛を演じた吉川晃司さんなんて瓜二つすぎて笑ってしまいました。←いい意味でですよ。
衣装やセットの土臭さや泥臭さ、そして電気がない時代の闇の深さを見事に表現しているからこそ、この素晴らしい役者たちを見事にるろうに剣心のキャラクターとしてリアルに表現できているのです。
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キャスト
緋村剣心 :佐藤健
神谷薫 :武井咲
高荷恵 :蒼井優
斎藤一 :江口洋介
四乃森蒼紫:伊勢谷友介
瀬田宗次郎:神木隆之介
志々雄真実:藤原竜也
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緋村剣心 :佐藤健
神谷薫 :武井咲
高荷恵 :蒼井優
斎藤一 :江口洋介
四乃森蒼紫:伊勢谷友介
瀬田宗次郎:神木隆之介
志々雄真実:藤原竜也
比古清十郎:福山雅治
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まとめ
るろうに剣心の映画が評価が高い理由は
- 実写化に向いていたから
- 脚本が素晴らしい
- 演出が素晴らしい
- キャストの再現度が素晴らしい
という事です。
映画が公開されました、お話は続いていますので、その前に前作を見ておくことをおすすめします。