映画レビュー 演技の技術

『TENET』が大ヒット。クリストファーノーラン監督の全て!オススメ作品

現在公開中の映画『TENET』

とても評判です。自分も見に行きましたが、とても緻密に計算されて珠玉のミステリー映画です。特に映像が画期的な作品で、ノーラン監督お得意の時間軸を扱った演出が話題を呼んでいます。

この作品では、時間が遡りする技術を未来人が開発している設定になっていて、通常の時間が進むグループと、時間を遡っていくグループとが同じ場面で交錯するという、ワクワクするような設定です。どの瞬間がどの瞬間と交わっているのかが一度見ただけではわかりにくいです。自分も後二回ぐらい見ないときちんと理解できないかもしれません。

ただ、それでも映像を見ているだけでも、引き決まれてしまいます。

という事でこの記事では【クリストファーノーラン監督】作品にスポットを当てて記事を書いていきます。

✅読んでほしい方

  • 映画好きの方、特にミステリー映画好きの方に読んでほしいです
  • クリストファーノーラン監督作品が好きな方

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クリストファーノーラン監督の人物像や生い立ち

生い立ち

イングランド人の父とアメリカ人の母の元に生れたので、アメリカとイギリスの国籍を所有しています。大学時代にイギリス小説を学びながら短編映画を撮る。1998年に最初の長編作品となる『フォロウィング』を撮影

続いて2作目の『メメント』は弟の短編小説をもとに作った作品で、この作品で早くも彼は世界から注目を浴びるようになります。またこの『メメント』でアカデミー賞脚本賞にもノミネートされます。

2000年に新生バットマンの監督に抜擢。しかし『バットマンビギンズ』の興行収入は平凡に終わります。しかし2作目の『ダークナイト』では歴代興行収入第二位を獲得、バットマンの映画シリーズの中でも最大のヒット作となります。また『ダークナイト』でジョーカーを演じたヒースレジャーはアカデミー賞助演男優賞を受賞しています。

ビジネス第一のアメリカで毎作品結果を出している稀有な監督

彼はビジネス第一のアメリカできちんと成果を出している稀有な監督でもあります。

どういうことか?

ハリウッド映画では巨額の製作費が投じられます。もちろんそこにはその投資に見合った収益がないと成立しません。それはビジネスだから当然といえば当然です

ノーラン監督は巨額の予算を使って映画を作っても、毎作品必ず興行収入でもって予算を回収し利益につなげている監督なのです。

こういった監督は稀で、クエンティン・タランティーノ監督もその一人だが、タランティーノが使う映画の製作費は大体平均一億ドル。しかしノーランはその倍の平均二億ドルといわれています。

つまりそれほどまでに信用されている監督だということです。

信頼されているという事は、彼が彼の好きなように作品を撮れるという事でもあります

 

クリストファーノーラン監督の作風と逸話

【時間】を取り扱っている演出や作品が多い

大きな特徴そして、彼の作品では『時間』を操作する作品が多い。

長編第一作『フォロウィング』でも過去と未来のシーンが入れ違いに編集されています。

また二作目である『メメント』もそうで、主人公は外傷により十分しか記憶を維持できないという設定。その主人公が妻を殺害した犯人を追いかけるというお話。そしてこの映画が特徴的なのは、時間が遡っていくという編集をしている。一つのストーリをシーンごとに細分化。そしてそのシーンを遡っていくという手法。

他にも時間軸が入れ違いになっている作品は多い。

ツナカン
最新作の『TENET』もそうです。この作品に至っては、時間が逆再生されるわけですから、とんでもないですよね。

 

彼の作品はミステリー作品が多い

彼は推理小説を愛し、そして007シリーズの大ファンでもあります。そのためサスペンス性の強い難解な作品が多いのが特徴です。

最初の長編作品『フォロウィング』も、いろんな仕掛けが施されたミステリー作品となっています。

映画『インセプション』を撮影していてときに、彼は「いつか007シリーズを撮影してみたい」といっていたそうです。もしこれが実現したら、とんでもない良質なミステリーとアクションが融合した超大作になること間違いないでしょう。

インターネットやCGを嫌う

彼は”インターネット”を嫌らっているそうです。その理由は「ネットの発達によりみんなが本を読まなくなってしまった。書物は知識の歴史的な体系だ。ネットのつまみ食いの知識ではコンテクストが失われてしまう。」ようは書物は知識や論理的思考、文脈等や当時の環境や人物を学んだり感じたりできる良質な歴史的なコンテンツというような感じなんでしょう(間違っていたらごめんなさい)。

其のインターネットぎらいからか、ダークナイトでは実際の建物を爆破や、『インターステラー』でも実際の映像を使った場面があります。極力CGをつかいません。

 

また映画『インターステラー』での地球の映像は、実際にジェット機の先端にカメラを付けて成層圏にて撮影したものです。すごいですよね

最新作のTENETでも旅客機の爆破のシーンは実際の旅客機を使って撮影しています。

インターネットを嫌い、CGも極力使わないのに、SF作品も描くという矛盾が、彼の作品を魅力的にしている一つの要因かもしれません。

デジタル映像ではなくてフィルムでの撮影を好む。

かれはCGを嫌うように、デジタル撮影よりフィルムでの撮影を好むようです。理由としては「フィルムの質感の美しさをとらえることが出来るし、肉眼で見えるものを最高品質で提供できるから」とのこと。

IMAXカメラを映画に最初に起用したのもノーラン監督。

IMAXカメラとはIMAXという企画のフィルムを使って撮影するカメラの事で、通常のフィルムが35mmに対してIMAXフィルムだと70mmで面積にすると四倍の大きさになります。

またIMAXフィルムは当然画角が違うので、特別な映画館でしか見ることが出来ません。大きさが四倍ですから、迫力もかなり変わってきます。これは現在過程で鑑賞するBlu-rayではどうしても表現できないのです。

陰影や色彩を美しくそれを最大限に圧倒的な大きさで表現できるわけですから、すごいですよね?

でも、なぜいままではIMAXカメラで映画を撮影されなかったのか?

一つ目の理由は、カメラの大きさです。当然フィルムが大きいのでそれを撮影するカメラ自体も大きくなります。その為カメラマンが一人で手持ちで抱えた撮影するのにも大変な労力です。それをダークナイトという、しかも運動量の多いアクション映画で使用したのです。

二つ目の理由として、IMAXカメラは世界に四台しかありません。とても貴重なモノです。

にもかかわらず、素晴らしい映像を撮影するためにIMAXカメラを初めて起用したのがノーラン監督なのです。

かれは撮影中この四台しかないカメラを壊してしまいます。50万ドルしたそうです。

ノーラン監督はこのカメラを使用することで、『ダークナイト』のワンシーン:パトカーを奪った後のジョーカーが窓から顔を出しながら走るあの有名なシーンが、大判フィルムならではの被写界深度の浅さ(後ろのボケの綺麗さ)も相まって、ジョーカーの開放感のある芝居が存分に伝わる素晴らしいシーンとなりました。

アドリブをあまり良しとしない監督

クリストファーノーラン監督はアドリブをあまり好まない監督なようです。

アドリブとは、役者が台本にない演技をすること。

 

ダークナイトのあの有名なビル爆破シーン。

一度爆破が止まってしまったジョーカーがリモコンをたたくシーンです。

明美
あれのシーンはスタッフ側でトラブルが発生、それで一度爆破が止まって、それをキースレジャーの見事な起点であるアドリブで成立させたシーンなんでよね

という話聞いたことないですか?

実はあれ全部が計算されていて、一度爆破が止まるように演出していたシーンなのです。この爆破シーンを成立させるために10回以上もテストを重ねてから撮影したシーンなんだそうです。もちろん本番はワンテイクで撮影していますが…。

役者としてあのシーンを演じるとしたらプレッシャー半端ないですけどね

 

そんなアドリブが嫌いなノーラン監督、しかし彼の作品の中でアドリブを成立させたある逸話があります。

それはダークナイトにおいてのジョーカーを演じるキースレジャーが関係しています。

そのシーンは、ジョーカーを逮捕したゴードンがその功績で昇進した瞬間を撮ったシーンです。

ジョーカーがとらえられている牢屋の前で、周りの刑事たちが拍手でゴードン刑事の昇進を祝います。更にジョーカーも一緒に拍手でたたえているシーン。実はこのジョーカーの拍手は台本には無いキースレジャーのアドリブだったのです。

もともとアドリブを嫌うクリストファーノーラン監督ですから、まわりの役者たちは焦った事でしょう。しかしその焦りさえもジョーカーに対する怪訝に見える見事なシーンになりました。

ノーラン監督もこのシーンを活かし、映画内に残しました。

受賞履歴

アカデミー賞

第74回(2002年)アカデミー賞脚本賞『メメント』

第83回(2011年)アカデミー賞脚本賞『インセプション』

第90回(2018年)アカデミー賞監督賞ノミネート『ダンケルク』

ゴールデングローブ賞

第59回(2002年)ゴールデングローブ賞最優秀脚本賞ノミネート『メメント』

第68回(2011年)ゴールデングローブ賞最優秀監督賞&最優秀脚本賞ノミネート『インセプション』

第75回(2018年)ゴールデングローブ賞最優秀監督賞ノミネート『ダンケルク』

 

作品紹介

◆フォロウィング(1998)

あらすじ

主人公は作家の卵。かれは人に言えない趣味があるそれは”知らない人を尾行する”こと。

尾行して、その人の家の前まで行くというただそれだけの事。

そんなある日、ある一人のスーツ姿の男性の後をつける。ところが主人公はその男性に備考に気づかれてしまい、カフェに連れ込まれる。

問い詰めれれる主人公。がそこでスーツの男は空き巣であることが告白される。

主人公は、そのスーツの男の手引きで空き巣という犯罪に手を染めていく。やがて主人公は…

感想

クリストファーノーランらしい編集をしている作品。主人公の三つの時間軸が入り乱れて編集されています。一つはスーツの男とだあってからの時間軸。次が主人公が髪を切った後の時間軸。もう一つが短髪になった後何故か顔が傷だらけになったいる時間軸。この三つの時間が互い違いになって編集されています。見分けがつきやすいとは思いますが、最初は戸惑うかもしれません。きちんと観察しないと見逃してしまう可能性もあります。

ただ、主人公がだんだんと追い込まれていく様はハラハラします。そして、ミステリー部分もとても面白い作品です。

頭の中で考えながら見る作品。

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◆メメント(2000)

あらすじ

主人公は外傷により10分間しか記憶を維持できない症状に苦しんでいる。つまり10分経つと記憶がリセットされてしまうわけです。

そんな主人公が、自分の妻に関係する人物を追い詰めていくのだが、彼は記憶を蓄積できないのでメモ代わりに体にタトゥーとして事象を刻んでいく。

彼は、ある人物を捕まえることはできるのだろうか?

感想

この作品は新しい推理小説を読んでいる感じがします。もちろんシーンが互い違いになっているので複雑です。ストーリー自体もそうですが、編集も変わっていて、ある時間から”Aというシーン”まで遡っていくパターンと、過去から”Aシーン”へ進んでいくパターンが互い違いに展開されていくという編集をされている作品です。

なんのこっちゃ?!

と思うかもしれませんが、その”Aシーン”で謎が全て解けるという作品です。

メモを片手にもって見ることをおすすめします。

ただ、パズルを解いている感覚があるので、理系の人は好きなお話だと思います。

裏話では、撮影監督を務めたウォーリー・フィスターは後日談で、この作品の内容を把握していなかったと語るほど難解なストーリ展開となっています。

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◆インソムニア(2002)

あらすじ

警察内の内務調査の対象となっている二人の刑事。その二人が白夜で日の沈まないアラスカの村で起こった少女の猟奇殺人事件の捜査に駆り出されます。

二人の刑事の一人である主人公のベテラン刑事。捜査を進めていく中で、彼はとんでもない過ちを起こしてしまいます。その為かれは不眠症(インソムニア)に陥ってしまいます。頭がぼっーとしながらも捜査を続けていく主人公。その先に待ち構えている展開とは?

感想

クリストファーノーラン監督のドSぷりが存分に発揮されている作品です。

この作品は一見、犯人は誰なのか?犯人を追い詰めるというようなサスペンスドラマなのかと思いきや、実は違います!!

また、メインキャストがアルパチーノとロビンウィリアムスの二人なので、「一方が主人公の刑事だったら、もう一方が犯人に決まってるじゃん」というような日本の安っぽい二時間ドラマみたいな感じになるのかなと思ったら全く違いました。やはりノーラン監督の作品の脚本が面白いです。

詳しくはネタバレになってしまうのでここまでにします。

  • ”殺人事件”
  • ”内務調査”
  • ”不眠症”
  • そして彼の犯した”ある過ち”

この四つによって徐々に追い込まれていく主人公のアルパチーノの演技は必見です。

また現地の新人刑事のエリーを演じるヒラリースワンクの存在もこの映画を盛る上げる一つの要因となっています。

そして、あまり悪役のイメージのないロビンウィリアムスの悪役にも注目してほしいです。

ポイント

もしあなたが役者を目指している方なら、この悪役を演じるロビンウィリアムスは大変参考になると思います。

彼は、いたって普通に役を演じています。

悪そうな演技派一切していません。

にも拘わらず、彼の演技派不気味極まりないです。なんかちゃんと不気味なんです!!

 

そしてもう一人、刑事たちが宿泊する旅館の女主人が、物語の転換を引き起こすセリフを主人公に伝えます。そのセリフがこの映画のキーポイントなのかなぁとおもいます。

そのセリフは、あなた自身で映画を見て確認してください。

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◆バットマン ビギンズ(2005)

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◆プレステージ(2006)

あらすじ

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◆ダークナイト(2008) ☆おすすめ

あらすじ

ダークナイトシリーズの第二弾。

この作品ではジョーカーを演じたキースレジャーの演技がとても素晴らしいです。主人公のバットマンであるクリスチャンベールが見事に食われてしまっています。

そもそもジョーカーというキャラクターが結構異彩を放っているキャラクターで、悪役であるにもかかわらずとても人気のあるキャラクターです。

ジョーカーは特別な超能力を持ってはいません。しかし頭が切れる。ずるがしこい。そしてサイコパスで予想がつかない。

一般の人と力や身体能力は変わらないのにもかかわらず、その猟奇的な頭脳でバットマンを追い詰めていくキースレジャー演じるジョーカーは、敵ながらワクワクしてしまいます。

 

感想

この作品は解かりやすい勧善懲悪のヒーローモノではありません。正しいことが必ずしも”善”ではないという事が語られている作品だと思います。

まぁとにかくジョーカー演じるキースレジャーの演技は必見です。とんでもない存在感出しております。俳優なら憧れる演技であるのは間違いないです。

ぜひとも見て!!とにかく見て!!

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◆インセプション(2010)

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◆ダークナイトライジング(2012)

感想

ダークナイトシリーズの第三作品目です。バットマンが新たな敵を迎えます。確かにキースレジャーみたいな強烈な魅力的なキャラは出てきませんが、それでもライジングは十分に面白いです。

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◆インターステラー(2014)

◆ダンケルク(2017)

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◆テネット(2020)

劇場にて公開中。

この作品はただ単純に過去に戻るタイムスリップと違って、時間を逆行する、いわゆる逆再生できる未来の技術が開発されてい居る世界のお話です。

通常の時間の進行する世界と、時間を逆再生に侵攻する世界が、一つの場面で展開されるという設定のお話です。

とても複雑なので、何度も見るべき作品。

ただ、映像が逆再生のシーンとかみ合っている場面は見ていてとてもワクワクして引き込まれます。

オススメですので是非映画館にて見てみてください。

VODでクリストファーノーラン監督作品を見る

動画配信サイト(VOD)にて視聴できるノーラン監督作品を見てみましょう。

 

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フォロウィング(1998)
メメント(2000)
インソムニア(2002)
バットマン ビギンズ(2005)
プレステージ(2006)
ダークナイト(2008)
インセプション(2010)
ダークナイトライジング(2012)
インターステラー(2014)
ダンケルク(2017)
TENET テネット(2020)

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まとめ

クリストファーノーラン監督作品はとても面白いです。

推理小説好きの自分としては、かなりドンピシャな作品が多いです。

謎解きもそうなのですが、ピースがバラバラで、それを頭の中で組み合わせながら見るイメージの映画が多いような気がします。

主人公の追い詰め方もえぐいです。

ヒリつくようなスリルと、難解な謎解きがノーラン監督作品が好まれる要因なのでしょう。

そして、ノーラン監督のより良い映像を純粋に求める姿勢そのものも大ヒット作品を生み出している要因の一つなのかもしれません。

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